「Webライターは専門知識がなくてもできる」「学生・副業・主婦など忙しい人も、スキマ時間でWebライターになれる」など、Webライターは敷居の低い職業といわれています。
筆者は、元Web制作会社のディレクターで現Webライターです。どちらも3年の経験があり、多くの企業の記事コンテンツに携わってきました。
これからWebライターを目指そうとしている方の多くは、「実際のところ、Webライターってどうなの?」というところが気になるかと思います。そこで、この記事ではディレクターとライターのどちらの経験をもつ筆者が、Webライターの現実とおすすめの稼ぎ方を解説します。
Webライターで「稼ぐ」のは、甘くない!
結論からいうと、Webライターには誰でもなれます。その認識は世間のイメージと合っています。
しかし、Webライターになっても「生計を立てられるほど稼ぐ」「ワークライフバランスを整え、ゆとりのある暮らしを手に入れる」ことは難しいです。誰でもWebライターで生活できるほど甘くありません。
実際に、フリーライターはどの程度稼げるのでしょうか。
「フリーランス白書2019」の調査によると、フリーランスライターの年収は以下のようになっています。※調査では、Webライターだけでなくコピーライター、編集者なども合わせて文筆系ライターと記載されています。
年収 | 割合 |
---|---|
200万円未満 | 32.0% |
200〜400万円未満 | 26.9% |
400〜600万円未満 | 21.5% |
600〜800万円未満 | 8.2% |
800〜1000万円未満 | 5.5% |
1000万円以上 | 3.7% |
フリーライターのうち年収400万円未満ライターが、50%以上を占めているのです。そのため、いわゆるフリーになって悠々自適に生活できると想像していると、思ったように稼げずに困窮してしまうかもしれません。
Webライターが甘くない5つの理由
それでは、どうしてWebライターとして生活するのは甘くないのでしょうか。ここでは、筆者も実感した5つの理由を解説します。
低単価な仕事しか獲得できない
Webライティングの仕事は、世の中にあふれています。そのため、仕事を獲得できないということはほぼないでしょう。
生活するためには高単価な案件を獲得する必要があります。しかし、Webライターは専業・副業問わず多くいるため、なかなか希望条件に合った仕事を獲得できないという事態に陥りやすいのです。
低単価な仕事は、やればやるほど身も心も追い込まれていきますし、生活できなくなります。
信じられないかもしれませんが、1記事0.1円以下の低単価な仕事も多くあります。たとえば、単価0.1円で1記事5,000文字の案件を受けたら、報酬はたったの500円です。5時間かけて執筆したのであれば、時給100円にしかなりません。
Webライターはあくまで「使い捨て」で安定しない
Webライターとして活動するには、「正社員」で雇用されるか、「業務委託契約」を結んで仕事をするかの二択です。正社員であれば雇用は守られていますが、フリーライターが結ぶ「業務委託契約」の場合には異なります。
あくまで、業務の成果を委託する契約であるため、その契約が切れてしまえば仕事が0になることもあるのです。
自己管理できることが前提
フリーのWebライターに「自分の好きな場所で、好きな時間に、誰にも気兼ねすることなく自由に働ける」というイメージをもたれる方もいるかもしれませんが、簡単なことではありません。
働くうえで管理が必要な点について、正社員とフリーのWebライターの場合の違いをまとめました。
正社員の場合 | フリーのWebライターの場合 | |
---|---|---|
働く場所 | ・会社が提供してくれる ・基本、無償 | ・自分で必要な機材を購入する ・自分で定期的にメンテナンスを実施する ・故障・不具合の際も自分で対応する |
働く時間 | ・決まった時間働く ・周囲に納期を共有する ・上司などに確認してもらえる | ・複数の案件の進捗を管理する必要がある ・納期に間に合わせる必要がある |
税金管理 | ・会社が管理してくれる ・内容を確認してもらえる | ・自分で確定申告を行う ・日々の収支の記録も自分で行う |
対外的な要素 | 取引先や顧客、自社の社員と コミュニケーションが必要 | ・自分一人で進めるため孤独 ・取引先とのコミュニケーションが必要 |
そのため、自己管理できなければフリーのWebライターとして働くことは難しいでしょう。
文章作成スキルだけではクライアントの要求を満たせない
Webライターは、ただ他人にも伝わる文章を書ければ良いわけではありません。
それはWebライターが執筆した記事は、インターネット上に公開されるという特性によるものです。
多くのユーザーに自分の記事を読んでもらう必要がありますが、そのためには最低でも以下の知識やスキルが求められます。
また、記事の内容によっては専門的な知識を別に求められることもあります。たとえば、BtoBビジネス向けのITツールを販売する企業の記事であれば、DXやシステム化、ペーパレス化などの知識は欠かせないでしょう。
メンタルを保つのが難しい
自己管理とかぶる部分がありますが、Webライターは自分で何でもやることが必要です。
誰かに相談することもあまりできず、作業も自分一人で行います。取引先とのやり取りも、ほとんどがチャットツールで完結するため、他人と話すことはあまりありません。
また、常に締め切りに追われている感覚に陥って休息ができなくなったり、孤独感によりストレスが溜まってしまったりすることもあるでしょう。
こうした状況が辛いという場合には、Webライターには不向きといえるかもしれません。
【ディレクターおすすめ】Webライターで稼ぐ6つの方法
Webライターで稼ぐには、いくつかの方法があります。ここではディレクター目線で稼ぐためにおすすめの方法を紹介します。
Webライティングのスキルを向上させる
最も大切なのが、自身のWebライティングのスキルを向上させることです。それは、文章作成能力だけでなく、SEOや構成作成能力なども含まれます。
詳しくは、以下の記事で解説しています。「Webライティングスキルに自信がない」「どうしたらWebライティングスキルを高められるかわからない」という方は、ぜひご覧ください。
Webライティングツールを使用する
Webライティングに使用できるツールを利用することで、Webライティングの作業効率や正確性を高められます。
SEO対策に使用できるツールも合わせて、以下の記事でまとめています。「どのようなツールがあるのかわからない」「おすすめのツールを使用してみたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
さまざまな分野のライティング経験・実績を積む
Webライターになったばかりの人は、選り好みせずにさまざまな分野のライティング経験・実績を積むことをおすすめします。
というのも、単純に契約できる案件の数が増えるというのも理由の一つですが、制作会社と契約している場合には非常に大きな強みになる可能性があるのです。
制作会社にはBtoB、BtoCにかかわらず、ありとあらゆるジャンルの記事制作が依頼されます。新規契約があったら、まず自社で契約しているライターの中で、その分野の知識や制作経験のあるライターがいるかどうかを確認します。
そのため、制作経験が多岐に渡るライターであれば、同じ契約先から多くの案件を得られることになります。契約する手間が減りますし、制作会社との信頼も深まり、「新規案件がきたら、●●さんにお願いしてみよう」と思ってもらえるかもしれません。
人間関係が希薄になりやすいライターですが、実は多くのライターが契約を得るきっかけにしているのは「人脈」だったりするのです。
自分の得意分野を見つける
さきほどの「さまざまな分野の制作実績をもつ」と似ていますが、自分の得意分野を見つけられると、類似案件がきたときに依頼をしてもらいやすくなります。
そのため、たとえば「旅行に関する記事制作をしてほしい」とディレクターに提案された際には、ただ「わかりました」と返すのではなく「毎月1回は旅行にいっているので、力になれると思います」などと、自分の得意分野であることを伝えることがおすすめです。
制作会社によっては、事前に執筆できる分野を調査してくれるところもありますが、担当者に直接伝えておくとで印象に残り、優先的に案件を回してもらえるかもしれません。
取引先とコミュニケーションを積極的に取る
取引先の担当者とは、積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。やり取りがチャットツールのみになりやすいため、業務連絡のみになりやすいですが、受け身ではいけません。
「業務委託契約」では、取引先とライターはあくまで「対等な立場」です。Webライターの場合、自分を守れるのは自分だけです。自分の希望を受け入れてもらえるように努力しましょう。
しっかり、以下の点を相手に伝えるようにしましょう。
もし、希望単価や時間などの条件が取引先に受け入れられなかったとしても、折衷案を提案してもらえることもあります。ただし、条件の対立があった際にクライアントが受け入れてくれるかどうかは、自分自身のWebライティングスキルにかかっています。
クラウドソーシングではなく、直接契約を狙う
クラウドソーシングとは、クラウドワークスやランサーズなどのさまざまな仕事を発注したい人や働きたい人が集まるサイトのことです。
クラウドソーシングはさまざまな分野の実績を積めるため、初心者や中級者に適しているといえます。しかし、低単価な案件が多いため、高単価な案件を獲得したいときには直接契約を狙うことがおすすめです。
SNSやIndeedなどで自分自身を売り出してみましょう。Webライターにおいて、自分を売り出す営業力は必須です。自分の強みをしっかりと打ち出すことが求められます。
【体験談】筆者はWebライターになって良かった
ここまでWebライターで稼ぐことの難しさを解説してきましたが、筆者はWebライターになって良かったです。
元ディレクターとはいえ、Webライターになってからの半年間は収入が少なく非常に辛かったです。
しかし、仕事そのものに関するやり取りはあるものの、仕事がらみの人間関係に悩まされることはなくなりました。
また、パソコンがあれば、いつでも・どこでも仕事できるのも嬉しいポイントです。筆者は旅行が好きなので、日本国内を旅行しながら仕事をしています。朝が苦手なので10時ごろから仕事を始められるし、好きなタイミングで休憩し、日中にお散歩にも出かけています。
今からまた正社員になることは一切考えていません。自己管理ができれば、Webライターは非常に快適な仕事の一つなのだというのが筆者の感想です。
まとめ
この記事ではディレクターとライターのどちらの経験をもつ筆者が、Webライターの現実とおすすめの稼ぎ方を解説しました。
Webディレクターの頃よりも現在の方がストレスのない快適な生活ができています。しかし、自由には責任が伴います。自分で自分を管理できるかどうかをしっかり検討したうえで、Webライターを目指すことがおすすめです。
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